ラグナセカは特別。
そう思っていたのはアメリカンライダーと観客だけかもしれない。
コース上を疾走する世界各国から来た猛者たちにとってみれば、ラグナセカは1/18でしかなく、随分前に地の利は失われていたのだ。
予選中からアメリカンライダーは神経質だった。走行中は常に周りを見渡し、時には後ろにつかれないようにペースダウンする。危険なシーンもいくつか見られたし、実際予選ではマルコ・メランドリが突如としてペースダウンしたカーティス・ロバーツに接触して転倒。レッドフラッグが振られ、予選は20分間中断された。
何故アメリカンライダーが神経質になるのか。それは「地元ライダーしか知らない秘密のライン」という実像のない伝説のせいだ。たしかに右ターンから左ターンして急降下していくコークスクリューは全サーキットの中で最も特徴的なコーナーともいえ、攻略は優しくないことは見て取れる。
そしてその伝説に信憑性を増しているのが、2005年にカレンダーに復活してから、二年連続で地元ライダーのニッキー・ヘイデンがラグナセカを制していることだ。
しかしアメリカンライダー達はもっと早く気づくべきであった。